2011年7月27日、カリフォルニア州ランチョ・パロス・バーデスの自宅で、伊良部秀輝は首を吊った状態で発見された。42歳という早すぎる死だった。地元警察の調査を引き継いだロサンゼルス郡検視局は、綿密な検視と毒物検査を実施したのち、死因を「首吊りによる自殺」と断定した。
現場となった自宅は、当時彼が家族と別居し、事実上の一人暮らしを送っていた場所だった。検視報告書によれば、遺体からは多量のアルコールに加え、精神安定剤の成分が検出されている。衝動的な行動であったのか、あるいは綿密に計画された幕引きだったのか。争った形跡や他殺を疑う証拠は一切なく、検視局の最終結論は揺るぎない事実として記録された。だが、法医学的な結論が出た一方で、「なぜ彼がそこまで追い詰められたのか」という心理的動機に関する疑問は、関係者の胸に重く澱のように残り続けた。