数世代にわたって天皇家と姻戚関係を結び、実質的な権力を握り続けた蘇我氏。渡来人の先進技術や仏教文化をいち早く取り入れ、国際感覚に長けていた彼らの存在感は、旧態依然とした朝廷内で圧倒的なものとなっていた。
だが、その強大な権勢は同時に、伝統的な豪族層や皇族たちとの間に修復不可能な溝を生み出す。特に蘇我氏が独自の外交ルートを持ち、王権を凌駕する威光を示し始めたことは、朝廷の内部対立を決定的なものにした。国家の意思決定が一族の私邸で行われる異常事態を打破しなければ、大和の国は瓦解する――そうした焦燥が、反蘇我派の結束を急速に促していった。