本作における最大のトピックは、シリーズ全体の「リブート(再起動)」に近い大胆なリニューアルでした。前作『ダイヤモンド&パール』で歴代屈指の完成度を誇るバトルを展開し、トップトレーナーの風格を漂わせていたサトシが、第1話で新米トレーナーのシューティーに敗北を喫する展開は、多くの古参ファンに衝撃を与えました。
このサトシとピカチュウの実力リセットの理由について、制作陣は「新世代の子どもたちに向けた新たな第1歩」を意図していました。ゲーム『ポケットモンスターブラック・ホワイト』が殿堂入りまで旧世代のポケモンが一切出現しない完全新規の構成だったのと同様に、アニメもまた新たな導入を図った形です。しかし、ポケモンのタイプ相性を忘れたかのような指示出しや、モンスターボールを投げる前の弱らせ方を改めて学ぶ描写は、前作までの積み重ねを重視する層から「退行に見える」という強い反発を招く結果となりました。
さらに、旅の仲間となったアイリスとデントとの関係性も評価を分ける要因でした。アイリスの口癖である「子どもねー」というフレーズが頻繁に用いられたことで、視聴者がサトシの扱いにフラストレーションを溜めやすかった側面は否めません。しかし、ドラゴンマスターを目指すアイリスのバックボーンや、ソムリエ探偵として異彩を放つデントの強烈な個性は、ギャグ描写の切れ味とともに独自の魅力を確立していきました。