「歩くだけで足の甲がズキズキ痛む」「土踏まずが引っ張られるように熱を持ち、体重をかけられない」――こうした訴えで受診する患者の多くが、当初は「腱鞘炎」や「足底腱膜炎」と診断され、対症療法を繰り返して症状を慢性化させています。足のトラブルを取材する中で浮き彫りになるのは、関節運動の境界線に生じる剪断(せんだん)ストレスの見落としです。
足部には、歩行メカニズムを語る上で欠かせない2大関節が存在します。
- ショパール関節(横足根関節):後足部(距骨・踵骨)と中足部(舟状骨・立方骨)を繋ぐ関節。歩行時の「柔軟な衝撃吸収」と「硬い蹴り出しの剛性」を瞬時に切り替えるスイッチの役割を果たす。
- リスフラン関節(足根中足関節):中足部(立方骨・3つの楔状骨)と前足部(中足骨)を繋ぐ関節。足の甲の最も高いアーチ頂上部に位置し、踏み込み時に強大な負荷が直撃する。
足根骨の歪みと扁平足アーチ構造の崩壊は、直結しています。足裏には「内側縦アーチ(土踏まず)」「外側縦アーチ」「横アーチ」の3本が存在しますが、踵骨が内側に倒れ込む回内足(オーバープロネーション)に陥ると、舟状骨が床に向かって沈下します。その結果、土踏まずは潰れ、ショパール関節とリスフラン関節に異常な捻れ応力が発生し、足の甲を走る腱や関節包に炎症を引き起こすのです。