イモリとヤモリを正しく区別する上で、まず把握すべき根幹は「両生類と爬虫類の決定的な違い」です。生物が水中生活から陸上進出を果たした進化の歴史において、両者は全く異なる生存戦略を選択しました。
イモリ(主に日本固有種のアカハライモリなど)は、カエルやサンショウウオと同じ「両生類」に属します。皮膚にはウロコがなく、粘液で常に湿っており、肺呼吸だけでなく「皮膚呼吸」に大きく依存しています。そのため、乾燥に極めて弱く、一生を通じてイモリの生息地と水辺の環境(水田、ため池、清流のよどみ、湿原など)から遠く離れて生きることはできません。また、産卵も水中に行われ、親の卵はゼリー状の膜に包まれています。孵化した幼生(子ども)はウーパールーパーのように外鰓(がいさい=外皮から突き出たエラ)を持ち、完全に水中生活を送る点が特徴です。
対照的に、市街地でも頻繁に目撃されるニホンヤモリの生態と特徴を紐解くと、彼らはヘビやカメと同じ「爬虫類」の有隣目に属します。陸上での完全な自立を果たしたグループであり、体表は乾燥を防ぐ緻密なウロコで覆われています。皮膚呼吸は行わず、発達した肺のみで呼吸するため、水中に潜り続けることはできません。産卵場所も陸上の乾燥した隙間や樹皮の裏であり、卵は炭酸カルシウムを主成分とする硬い殻で守られています。生まれた瞬間から親と同じミニチュアの姿をしており、水のない陸地を自在に駆け回ります。