現場の実態を確かめるべく、釣り人のコミュニティや市場関係者の証言、ネット上の体験談を精査すると、両者の明確なキャラクターの違いが浮かび上がってきます。
青物をターゲットにするルアーアングラーの間では、ヒラマサは「海のダンプカー」と呼ばれ、ブリとは明確に区別されています。オフショアジギングに長年通うベテランアングラーの手記には、次のような生々しい記録が残されています。
「同じ80cmのサイズでも、ブリは掛かった後に中層で激しく首を振りながら旋回する引きを見せる。それに対してヒラマサは、ヒットした瞬間に一瞬の迷いもなく海底の鋭利な根(沈み根)に向かって一直線に突っ込んでいく。ドラグをフルロックしていてもラインを力づくで引きずり出され、根ズレでリーダーをブチ切られる。獲ったときの達成感がまったく違う」
一方、消費者側のSNSや知恵袋の投稿を検証すると、「スーパーでヒラマサの刺身を買ったら、ブリと違って脂っこくなくて何枚でも食べられた」「夏場に買ったブリがパサついていて失敗したと思ったら、魚屋に『夏はヒラマサを食うもんだ』と教えられた」といった声が目立ちます。夏のブリは産卵を終えて身が痩せ、脂が抜けて味が落ちるのに対し、ヒラマサは春から夏にかけて活発にエサを追い、脂と筋肉のバランスが最高の状態を迎えます。現場を知る人々にとって、季節ごとの両者の使い分けは常識となっているのです。