弥生町の住環境を語る上で避けて通れないのが、街の北東部から東部を流れる神田川の水害リスクです。中野区が発行する最新の浸水ハザードマップを確認すると、神田川に隣接する弥生町1丁目、2丁目の一部低地、および妙正寺川合流部に近いエリアでは、総雨量690mm・時間最大雨量153mmの想定最大規模降雨時に「0.5m〜2.0m未満の浸水想定区域」が着色されています。
かつての神田川は、台風や集中豪雨のたびに氾濫を繰り返す「暴れ川」として知られていました。昭和期から平成初期にかけて浸水被害を経験した歴史が、現在のネット上でも「弥生町=水害の街」という印象として残り続けています。
しかし、東京都の治水対策はここ20年で劇的な進化を遂げました。環状七号線の地下約40〜50メートルに構築された「神田川・環状七号線地下調節池」(貯留量約54万立方メートル)の本格稼働に加え、護岸のかさ上げ工事が完了したことで、近年の局地的豪雨や大型台風来襲時にも神田川本流が決壊した事例はありません。
現在懸念すべき主たるリスクは、河川氾濫よりも下水道の排水能力を超える「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。低地部や窪地にある物件を選ぶ際は、1階の居室を避け2階以上を選択する、あるいはエントランスに浸水防止板が備わっているかを確認することが賢明な判断基準となります。