ネット上の掲示板や知恵袋などでは、「チキンラーメンは本当に本人の発明なのか?」「他者のアイデアを盗んだのではないか?」といった噂や憶測が散見されます。この疑問の背景には、昭和30年代に起きた激しい特許紛争の歴史が存在します。
チキンラーメンの爆発的ヒットに伴い、市場には粗悪な模倣品や類似品が数十社規模で乱立しました。健康被害を及ぼすような粗悪品が出回ったため、百福は特許を出願し権利を守る行動に出ます。しかし、彼が最終的に選んだ決断こそが、業界の歴史を大きく変える契機となりました。
百福は特許を独占して利益を囲い込むのではなく、「社団法人日本ラーメン工業協会」を設立し、公正な使用料で他社へ特許使用を許諾しました。さらに原材料や製造過程の品質基準を統一し、世界基準の「製造年月日表示」を業界に先駆けて導入したのです。独占ではなくオープンイノベーションを選択した歴史的事実が、後年の断片的な情報と混ざり合い、「特許を巡るトラブルがあった」というネット上の噂に変形して伝わったのが真相です。