楽寿園の歴史的な原点は、明治維新において戊辰戦争の征討総督などを務めた皇族・小松宮彰仁親王が、明治23年(1890年)に営んだ別邸に遡ります。親王はこの地を愛し、小浜池の景観を借景として巧みに取り入れた数寄屋造りの平屋建て「楽寿館」を建立しました。その後、宮内省の管理や民間企業への払い下げを経て、昭和27年(1952年)に三島市が買収・整備し、市立公園として市民に広く開放された経緯を持ちます。
園内の象徴である「楽寿館」は、国の重要文化財に匹敵する歴史的価値を秘めています。館内には、明治期を代表する帝室技芸員(皇室の御用絵師)であった川端玉章や野口幽谷、橋本雅邦など当代最高峰の日本画家たちが手掛けた豪華絢爛な杉板戸絵や天井画、襖絵が当時の姿のまま良好な状態で保存されています。
現在、楽寿館の内部を見学するには、定められた時間帯に実施される定時公開ツアーに参加する必要があります。個人の自由散策で立ち入ることはできず、専門の案内解説員が同行するガイド方式が採られています。見学開始時刻は1日複数回(原則として午前・午後に各回指定時刻あり)設定されており、開始時刻までに楽寿館前の待機場所に集合する形式です。保存保全のため、館内での大きな手荷物の持ち込み制限や靴下の着用が推奨されるなどマナーが徹底されている点には注意が必要です。また、2026年には「梅御殿・桜御殿・楽寿館・常盤の森」といった通常非公開エリアの特別公開日も設定されており、歴史ファンや建築マニアから熱い視線を集めています。