大胆な挑戦の時代を経て、松坂慶子の現在の活動は円熟の極みに達しています。2020年代以降も、NHK連続テレビ小説『らんまん』での威厳と温かみを兼ね備えた祖母役や、話題の映画・舞台において唯一無二の存在感を放ち続けています。
かつて妖艶な美しさで観客を魅了した彼女は、年齢を重ねることを肯定し、ふくよかでチャーミング、そして深い包容力を持つ名バイプレイヤーへと見事なシフトを遂げました。美しさの形を変えながらも、表現に対する真摯な姿勢と圧倒的な華は少しも損なわれていません。自らの肉体と向き合い、限界を突破してきた経験があるからこそ、現在の彼女の笑顔には深みと説得力が宿っています。