結論から述べると、カウパー液(球尿道腺液)のみの接触であっても妊娠する可能性は十分にあります。「射精していないから妊娠しない」という考えは医学的に明確な誤りです。
カウパー腺から分泌される無色透明の粘液そのものは、酸性である尿道を中和して精子の通過を助けたり、性交時の潤滑を行ったりするための分泌液であり、この器官自体が精子を作り出すわけではありません。しかし、前回の射精や過去の興奮時に尿道内部に残っていた精子が、カウパー液の分泌に伴って押し流され、混入する現象が頻繁に起こります。
海外の臨床研究においても、射精前のカウパー液を採取して顕微鏡検査を行った結果、被験者の約16%〜40%の検体から運動性を持つ生きた精子が確認されたというデータが報告されています。受精に必要な精子はたった1匹であるため、射精に至らなくとも、尿道から漏れ出た微量の精子が膣内に侵入すれば受精・着床のプロセスが成立する条件は揃ってしまうのです。