情報空間には「いちじくは不老長寿の果物だからいくら食べても良い」「酵素が多いから胃腸薬代わりになる」といった極端な健康言説が散見されますが、これらは医学的見地から見れば重大な誤解を孕んでいます。
第一の誤解は「食物繊維は多ければ多いほど便秘に効く」という思い込みです。いちじくに豊富な不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を促す一方で、すでに便秘気味で腸の動きが停滞している人が大量に摂ると、便の体積ばかりが巨大化して腸内で完全に詰まってしまい、逆に便秘を悪化させたり腸閉塞を誘発したりします。
第二の誤解は「炭酸飲料(コカ・コーラ等)を飲めば胃石は必ず溶ける」という都市伝説です。確かに医療現場において、特定の胃石(柿胃石など)に対してコーラを用いた溶解療法が試みられるケースは存在します。しかし、これは医師が胃カメラで石の状態や胃粘膜の潰瘍リスクを慎重に見極めながら管理下で行う医療処置です。自己判断で炭酸水を大量にがぶ飲みしても、胃石が溶ける前に胃が破裂しそうなほどの内圧上昇を招いたり、未溶解の塊が小腸へ押し流されて急性閉塞を起こす極めて危険な行為となります。