最も警戒すべき組み合わせが、高血圧(収縮期140以上または拡張期90以上)と頻脈(安静時心拍数80〜100以上)が同時に持続している状態です。高血圧と頻脈の危険性は、心臓と血管への物理的負荷が単純計算で「掛け算」となって増大する点にあります。
この背景にある主犯格が自律神経の乱れと血圧の悪循環です。慢性的な精神的プレッシャーや過労、肥満、睡眠時無呼吸症候群などによって交感神経が24時間過緊張に陥ると、心拍数が高止まりするだけでなく、末梢血管がギュッと収縮して血管抵抗が跳ね上がります。高い圧力(高血圧)で、かつ高頻度(頻脈)に血液が叩きつけられる血管内皮は、絶えず微小な傷を負い続けることになります。
結果として動脈硬化が加速度的に進行し、心筋梗塞、脳卒中、心不全、腎機能障害の発症リスクが急上昇します。近年の循環器疫学調査でも、「高血圧単独の患者」に比べ、「高血圧に高心拍数が合併した患者」の心血管イベント発生率は約2倍近く高まることが明らかになっています。