テクノロジーが極限まで発達した現代、私たちは顔を隠して誰とでも繋がれるようになった。匿名掲示板やSNSのアカウントは、まさに現代のお面だ。顔を隠したまま、他者の言葉を借りて誰かを叩き、承認欲求を満たすために過激な行動に走る。そこには、湯屋を破壊し尽くしたカオナシの暴走と同質のエネルギーがある。
ネット上の誹謗中傷や、アルゴリズムに支配されたエコーチェンバー現象。これらはすべて、個人の顔(主体性)を失った「カオナシ化した群衆」が引き起こしている。宮崎駿監督が四半世紀前に描いた寓話は、警告の書として、今まさに現実のものとなっている。私たちがカオナシを「怖い」と感じるのは、それがスクリーンの中のフィクションではなく、スマホの画面の向こう側に実在する脅威だからだ。