二人の関係性を語る上で外せないのが、あまりにもドラマチックな馴れ初めです。当時40歳前後だった井上純一氏と、中国・瀋陽(遼寧省)在住で当時24歳前後だった月さん。二人は知人の紹介による「国際お見合い」を通じて出会いました。
漫画家・井上純一の経歴を振り返ると、同人サークルでの活動からプロデビューを果たし、ゲームデザイナーやフィギュア原型師、企業経営者としても名を馳せる多彩なクリエイターでした。しかし、仕事に没頭するあまりプライベートでは独身が続いており、縁あって海を渡り中国・瀋陽の地で見合いの席に臨むことになります。
そこで出会った月さんは、井上氏の予想を覆す人物でした。単なる従順さではなく、白黒をはっきりつける率直な気性と、現実的で芯の強いリアリズムを併せ持っていたのです。お互いに言葉がほとんど通じない状態でありながら、電子辞書と身振り手振りを頼りに意思疎通を重ね、わずか数回の面会で電撃的な結婚を決意しました。
文化や習慣の違いによるカルチャーショックは数知れず、食文化の違い、親族関係に対する価値観の乖離、金銭感覚のギャップなど、あらゆる摩擦が初期の二人に降りかかりました。しかし、それらを隠蔽することなく客観的に観察し、ユーモアを交えたコミックエッセイとして昇華したことが、後の社会現象へとつながっていきます。