インターネット上の掲示板やSNSでは、「迷惑系動画配信者が痴漢や転売ヤーを待ち伏せて捕まえるのもおとり捜査の一種ではないか」という声が散見されます。しかし、これは法的に根本的な誤解です。
刑事訴訟法第213条が定める「現行犯逮捕(私人逮捕)」は、現に罪を行い、または行い終わった直後の者を誰でも令状なしで逮捕できる権利を指します。一般人が女性を故意に露出度の高い服装で歩かせ、寄ってきた男性を取り押さえるような行為は、単なる私設トラップであり、法的手続きとしてのおとり捜査とはまったく無関係です。過剰な拘束や身代金の要求、ネットへの無断晒し上げ行為は、不法監禁罪(刑法第220条)や名誉毀損罪、恐喝未遂罪に該当する明らかな犯罪行為として、配信者自身が逮捕起訴される事例が相次いでいます。
一般人が「悪を懲らしめる」名目で意図的に犯行の機会を演出することは、法規範を根底から揺るがす極めて危険な行為であり、警察による厳格な規律を伴う任意捜査と混同してはなりません。