日常生活やビジネスメールで多くの人を悩ませるのが、表記と使用する時間帯の厳密なルールだ。まず、こんにちは漢字表記の真相について触れておきたい。現在、文化庁が定める公用文作成の要領や新聞各社の用字用語集において、「こんにちは」はひらがな表記が原則と明確に規定されている。
「今日は」と漢字で表記すると、日付や「本日」を意味する名詞としての「今日(きょう・こんにち)」と視覚的に混同しやすいためだ。かつて助詞の「は」を伴って文頭に置かれていた名残として末尾が「わ」ではなく「は」と表記されるが、公的文書や格式ある場面で「今日は」と書くのは現代では誤用に近い扱いを受ける点に注意したい。
また、おはようございますとこんにちはの時間帯の線引きも、対人マナーの現場で頻出するテーマだ。放送業界や一般的なビジネス規範では、午前10時〜11時を境界線とする見解が主流となっている。早朝から活動する現場では10時前でも「こんにちは」に移行することがある一方、テレビ局や演劇の世界などでは「その日初めて会った時」に時刻を問わず「おはようございます」と発する業界慣習も存在する。
夕方以降に使われる「こんばんは」も同様のプロセスを辿った言葉だ。こんばんはの正しい意味と経緯を辿ると、「今晩は、静かな夜でございます」「今晩は、冷え込みますね」という夜の挨拶から結びが省略されたものであり、「こんにちは」と完全に同一の文法構造を持っている。