Jera碧南火力発電所の今|石炭最大手が挑む脱炭素と反対の真相

Jera碧南火力発電所の今|石炭最大手が挑む脱炭素と反対の真相

Jera碧南火力発電所の今|石炭最大手が挑む脱炭素と反対の真相にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

しかし、技術的な成功とは裏腹に、碧南火力発電所を巡る批判のボルテージは国内外で急速に高まっています。気候変動問題に取り組むNGO関係者や欧米のエネルギーアナリスト、地元市民団体が突きつける反対理由は、主に3つの構造的問題に集約されます。

第1の理由は、「石炭火力の実質的な延命(グリーンウォッシュ)」批判です。20%アンモニアを混焼しても、残りの80%は依然として化石燃料である石炭を燃やし続けます。G7(主要7カ国)首脳会議で「排出削減対策の取られていない石炭火力の2035年までの廃止」が合意されるなか、海外の環境シンクタンクからは「わずかなCO2削減率を口実に、本来早期閉鎖すべき巨大石炭火力を2040年代以降も稼働させ続けるための隠れ蓑ではないか」と厳しい視線が注がれています。

第2の理由は、「ライフサイクルCO2排出量と燃料調達の矛盾」です。現在世界で流通しているアンモニアのほとんどは、天然ガスなどの化石燃料から製造される「グレーアンモニア」です。製造工程でCO2を分離・回収しない限り、上流工程で大量の温室効果ガスを地球上に排出しており、発電所単体の煙突から出る煙だけをクリーンにしても地球全体での削減効果は薄れてしまいます。CO2を回収・貯留するブルーアンモニアや、再エネ由来のグリーンアンモニアへの完全移行には天文学的なコストとサプライチェーンの構築が必要であり、その実現性に強い疑義が呈されています。

第3の懸念は、「発電コストの跳ね上がりと住民の安全への不安」です。石炭に比べてアンモニア燃料の価格は高価であり、製造・海上輸送・超低温貯蔵設備を含めると発電原価は従来の2倍以上に膨らむリスクを孕みます。これが将来的に電気料金の上昇として国民負担に転嫁されるのではないかという懸念が拭えません。また、アンモニアは劇物指定された極めて刺激臭が強く毒性の高い物質です。万が一の港湾事故や漏洩トラブル時の安全性について、愛知県内外の地域住民の間では根強い不信感が燻っています。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。