夢を叶えて本物の電車を私有地に設置したオーナーたちの現場を取材すると、購入直後の高揚感のあとに待ち受ける「維持管理の過酷な現実」が浮かび上がってきます。
「置くだけで終わる趣味ではない。毎日がサビとの戦いです」――ある保存活動に携わる有志は、手記の中でそう語っています。鉄道車両は、毎日のように走行して車体全体に通風させ、定期的に専門の車両基地で洗車や点検を受ける前提で設計されています。定置されて風雨にさらされる静態保存では、屋根の継ぎ目や窓枠のゴムパッキンが紫外線で劣化し、わずか2〜3年で深刻な雨漏りが発生します。
さらに、外板の再塗装作業は専門の足場工事を含めると1回あたり100万円単位の経費が吹き飛びます。SNS上でも「憧れてカットボディを購入したものの、サビ落としとコーキングのやり直しで毎週末が潰れる」「湿気によるシートのカビ対策が追いつかない」といった切実な声が散見されます。車両保存とは、単なるモノの所有ではなく、「構造物としての建物を1棟維持し続けるのと同等以上の覚悟と労力」を要する行為なのです。