どれほど高機能なアプリを用いても、物理的なギターの扱い方に不備があれば音程は決して整いません。現場のリペアマンやギター講師が口を揃えるチューニングが合わない決定的な理由は、主に以下の3点に集約されます。
第1に、「ペグを緩める方向でピッチを合わせてしまう」操作ミスです。音程が高すぎた際、ペグを緩めてそのまま目的の音に合わせると、ギアの噛み合わせに微小な遊び(バックラッシュ)が残り、1回チョーキングや強いピッキングをしただけで弦が緩んで狂ってしまいます。必ず「目的の音より一度下げてから、巻き上げながら合わせる」のが調律の基本原則です。
第2に、ギター自体のオクターブ調整不良です。開放弦のピッチをアプリ上でどれだけ完璧に合わせても、12フレットを押弦したときの音がズレているギターは、コードを鳴らした瞬間に不協和音を生みます。これはアプリの測定精度の問題ではなく、ブリッジサドルの位置調整を要する楽器側のセットアップ不良です。
第3に、スマートフォンの持ち方とマイクの位置関係です。端末の下部にあるマイク穴を手で塞いでしまっていたり、デスクの硬い天板の上に直接スマホを置いてその反響音を拾わせていたりすると、位相干渉によってピッチの検出精度が著しく低下します。スマートフォンを膝の上や譜面台に置き、マイクを12フレットからサウンドホール付近へ向けることが、安定した測定を得るための現場の知恵です。