本作の前半における最大のドラマであり、物語のダークな側面を象徴するのが、ヴェンデリンの実家であるバウマイスター騎士爵領のお家騒動と、長男クルトの死亡です。
才能に恵まれない凡庸な長男クルトは、突出した魔法の才能で貴族社会を駆け上がる八男ヴェンデリンに対し、激しい嫉妬と被害妄想を募らせていきました。領民や親族からの信頼を失い孤立していく中、中央貴族の陰謀に利用され、呪われた魔道具「怨嗟の魔笛」を手にしてしまいます。
魔笛の暴走によって怨霊(ゾンビ)と化してしまったクルトは、理性を失い暴走。最終的に、自らの手で領地と家族を守るため、ヴェンデリンが放った魔法によって浄化・討伐されるという悲劇的な結末を迎えました。
この事件を経て、クルトの未亡人となったアマーリエやその息子たちの処遇を含め、ヴェンデリンが本家を吸収・統合する形でバウマイスター家の内紛は完全に終結しました。