神戸の天気予報が「外れやすい」と感じられる背景には、単なる予報モデルの誤差ではなく、この街特有の険しい地形が生む局地気象(マイクロクライメイト)が存在します。神戸市街地は、南側の大阪湾・瀬戸内海から北側の六甲山地最高峰(標高931m)までの距離が極めて短く、急峻な斜面が屏風のように立ちふさがっています。
南から湿った暖気が流れ込むと、六甲山の南斜面に沿って強制的に空気が持ち上げられ、市街地のすぐ真上で急速に積乱雲が発達します。その結果、わずか2〜3キロメートル四方の局所的なエリアに猛烈な雨を降らせるゲリラ豪雨が発生します。過去に神戸海洋気象台観測データ(現・神戸地方気象台)が蓄積してきた膨大な気候記録を振り返っても、海岸部の中央区波止場町周辺と、六甲山北側に位置する北区有馬や鈴蘭台では、同日・同時刻であっても気温が3〜5度、降水量にして数十ミリもの乖離が生じる事例が日常茶飯事です。
さらに冬から春にかけて吹き荒れる局地風「六甲おろし」や、山を越えた風が乾燥して気温を上げるフェーン現象など、高度差がもたらす気圧傾度力は一般的な広域メッシュ予報(5km〜20km四方の平均値を算出するモデル)の計算枠を容易にすり抜けてしまいます。これが、テレビや全国版ポータルサイトの大雑把な予報を見ているだけでは「予報が全く当たらない」と感じてしまう構造的な正体です。