キャラクター心理および作劇構造の観点から分析すると、矢安宮重清という存在は『第4部』のテーマである「黄金の精神」を最も泥臭く体現した重要なキャラクターでした。
第1部から第3部までの主人公たちは、過酷な宿命を背負った選ばれし戦士たちでした。しかし第4部は、日常の町に暮らす普通の人々が主役です。しげちーはどこにでもいる甘えん坊で、小遣いが欲しくて、親の愛情を無邪気に信じている普通の子どもでした。
そんな彼が、絶望的な肉体の損壊を抱えながら、最期の力を振り絞ってハーヴェストの1体に託したもの。それこそが、吉良吉影の上着から引きちぎった「ボタン」でした。
しげちーが命と引き換えに残したその小さなボタンが唯一の手がかりとなり、空条承太郎や仗助たちは吉良吉影の正体へと迫っていくことになります。彼が守ろうとした家族愛と勇気は決して無駄にならず、杜王町の仲間たちへと確かに受け継がれました。矢安宮重清は敗北して散ったのではなく、杜王町の平穏を守る戦いの最初の勝者となったのです。