夫婦間のレス化と並行して議論されるのが、若者の性離れ真相と未婚者の性体験率推移です。国立社会保障・人口問題研究所が実施する「出生動向基本調査」の追跡推計を見ても、交際相手を持たない未婚男女の割合は高止まりしており、20代未婚男性の約4割、未婚女性の約3割が「性経験がない」と回答しています。
メディアでは長年「若者の草食化」と安易にラベル貼りされてきましたが、取材の現場で見えてくる実情は極めてリアリスティックです。長引く実質賃金の低迷や雇用不安の中、恋愛や性交に伴う「コスト(費用・時間・感情の消耗)」に対する忌避感が若年層の間で強固になっています。
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視するデジタルネイティブ世代にとって、生身の人間関係は「リスクが高すぎる投資」と映ります。高性能な成人向けコンテンツ、SNSや動画配信プラットフォーム、推し活といった安価で傷つかない代替コンテンツが日常生活を埋め尽くす中、傷つくリスクを冒してまで肉体関係を伴う恋愛に踏み出す動機が構造的に失われているのです。この性意識の変化と現在におけるリアリティは、単なる道徳論では解決できない社会構造の歪みを如実に物語っています。