東芝凋落の原点・西田厚聰の功罪と米Wh買収の深層

東芝凋落の原点・西田厚聰の功罪と米Wh買収の深層

東芝凋落の原点・西田厚聰の功罪と米Wh買収の深層にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

インターネット上の掲示板やSNSでは、「東芝を潰した3大戦犯(西田氏・佐々木氏・田中氏)」として一括りに批判される傾向が見られます。しかし、事態の本質を個人の悪意や能力不足だけに帰結させる言説には留意が必要です。

西田氏自身は晩年のインタビューや周辺への証言において、「WH買収そのものは当時のエネルギー戦略として合理的であり、原発事故という未曾有の事態がなければ成長の柱になっていた」と自らの戦略的判断を正当化し続けました。また、東芝が歴代旧経営陣を相手取って起こした巨額の損害賠償請求訴訟においても、経営判断の原則と善管注意義務違反の境界を巡って激しい法廷闘争が繰り広げられました。

なお、西田厚聰氏は裁判の決着を見届けることなく、2020年12月に急性心不全のため76歳で逝去しました。西田氏個人の強烈な上昇志向やプライドが混乱を招いた側面は否定できませんが、それをチェックできず、異論を唱える者を排除し続けた取締役会の機能不全と終身雇用が生んだ閉鎖的な組織体質こそが真の元凶であったと言えます。

【プロの結論】権力闘争と過剰な業績圧力から学ぶ日本企業のガバナンス教訓

東芝と西田氏を巡る歴史から現代のビジネスパーソンや企業が学ぶべき教訓は、「心理的安全性の欠如した組織における数値目標は、必ず不正へと変質する」という組織行動学的な事実です。

カリスマ的指導者が打ち出す高い目標それ自体は悪ではありません。しかし、「達成できない理由は聞かない」「必達が至上命題」というプレッシャーが上層部から降りてきたとき、現場は事実の隠蔽や会計操作という破滅的な選択肢に逃げ込まざるを得なくなります。トップが自らの誤りを認められる組織風土と、権力の暴走を外部から法的に抑止する実効性ある社外取締役制度の存在がいかに重要であるかを、東芝の歩みは雄弁に物語っています。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。