SNSや知恵袋などでは「何か問題があって再放送できないのではないか」という憶測も飛び交っています。しかし、制作関係者への取材や放送業界の慣例を分析すると、放送されない決定的な理由は以下の3点に集約されます。
第1の理由は、主役級キャスト数十名による「肖像権・二次利用契約」の極度の複雑さです。
本作には、主演の池松壮亮に加え、オダギリジョー(演出・オリバー役)、永瀬正敏、麻生久美子、本田翼、松重豊、柄本明、佐藤浩市、橋爪功、さらには村上虹郎、寛一郎、仲野太賀、染谷将太、松田龍平など、日本映画界の主役を張るトップランナーが端役にまで惜しみなくキャスティングされています。地上波での再放送時には、これら所属事務所が多岐にわたるキャスト全員との再放送同意・二次使用料のクリアが必要となり、通常の単発ドラマに比べて事務的・法務的コストが跳ね上がります。
第2の理由は、コンプライアンスの限界を攻めたアナーキーな演出方針です。
本作は「NHKドラマ10」などの良質なヒューマンドラマとは一線を画し、警察犬オリバー(着ぐるみの中身は中年男性)がタバコを吸い、酒をあおり、下ネタや毒舌を連発するという過激なスラップスティック・コメディです。本放送時は深夜22時台の「ドラマ10」枠で放送されたものの、昼間やゴールデン帯の再放送枠には適合せず、放送できるスロットが「平日の深夜25時以降」に厳格に限定されてしまう編成上の制約が存在します。
第3の理由は、配信プラットフォームへの導線強化という公共放送のデジタルシフトです。
NHKは現在、放送波の再放送枠を削減し、NHKプラスやNHKオンデマンドへの加入促進を加速させています。特に若年層・カルチャー層に圧倒的な支持を集める『オリバーな犬』のようなキラーコンテンツは、地上波で無料再放送を垂れ流すよりも、有料アーカイブ配信の看板作品として位置付ける戦略的意図が働いています。