丸広百貨店川越店を語る上で避けて通れないのが、丸広百貨店川越店 屋上観覧車 現在の姿です。屋上遊園地「わんぱくランド」に設置されていた観覧車「わんぱくホイール」は、昭和43年(1968年)の誕生以来、半世紀以上にわたって小江戸・川越の空を見守り続けてきました。日本国内にわずかしか残されていなかった「デパートの屋上観覧車」として、埼玉県民のみならず全国のレトロ建築愛好家からも熱烈な支持を集めていました。
2019年9月1日の営業最終日には、別れを惜しむ家族連れや旧来のファンが数時間待ちの列を作り、テレビ各局が特集を組むほどの社会現象となりました。当時現場で常連客が口にした「自分の子ども時代、そして我が子の成長を見守ってくれた場所がなくなるのは本当に寂しい」という涙ながらのコメントは、単なる商業遊具を超えた情緒的価値を物語っていました。
現在、観覧車や大型遊具は完全に撤去されていますが、屋上フロアは閉鎖されたわけではありません。人工芝やベンチが配置された開放的な多目的スペース「エンジョイ広場」として整備され、晴れた日にはデパ地下で購入したテイクアウトを広げるファミリーや、買い物の合間に休憩するシニア層のオアシスとして機能しています。昭和の喧騒から令和の穏やかなサードプレイスへと、屋上は静かにその役割を受け継いでいます。