本作の魅力は、大人たちの水面下のレジスタンス「不死鳥の騎士団」と、学生たちが立ち上げた自衛組織「ダンブルドア軍団(D.A.)」という2つの対比構造にあります。
不死鳥の騎士団は、ダンブルドアを筆頭に、アラステア・ムーディ、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、セブルス・スネイプ、アーサー&モリー・ウィーズリー、ニンファドーラ・トンクス、キングズリー・シャックルボルトら歴戦の猛者で構成されています。彼らは魔法省の監視網を掻い潜り、予言の球の防衛や闇の陣営の動向探索に従事しました。
一方、有志の学生で結成されたダンブルドア軍団は、ハリーを指導者とし、ロン、ハーマイオニー、ジニー、ネビル、ルーナ・ラブグッドをはじめ、フレッドとジョージ、チョウ、パドマ&パルバティ・パチルなど総勢28名が参加しました。必要の部屋という神秘の空間で鍛え上げられた彼らの結束と呪文学の基礎は、最終決戦である「ホグワーツの戦い」における防衛中核部隊へと結実します。
また、本作には後続の『謎のプリンス』『死の秘宝』へと直結する重要な伏線が幾重にも張り巡らされています。
- スリザリンのロケットの先行登場:ブラック邸の清掃作業中、戸棚から「誰も開けられない重いロケット」が発見され、不用品としてゴミ箱に捨てられる描写があります。これこそが後に破壊すべきヴォルデモートの分霊箱(ホークラックス)そのものでした。
- スネイプの「最悪の記憶」:閉心術(オクルメンシー)の個人授業中、ハリーがスネイプの憂いの篩(ペンシーブ)を覗き見したことで、父ジェームズ・ポッターが学生時代にスネイプを理不尽にいじめていた凄惨な現場が発覚。ハリーの父親に対する絶対的信仰が崩壊し、スネイプの複雑極まりない心理の深淵が初めて露わになります。
- 夜の闇の生物「セストラル」:死を目撃した者にしか見えない有翼の骨馬セストラル。セドリックの死を通過したハリーと、母の死を幼少期に見たルーナにしか視認できないこの生物は、神秘部への移動手段として活躍するだけでなく、「死を受け入れた者の孤独と連帯」を象徴する重要な存在として機能しています。