脳性麻痺は受胎から生後4週未満までの間に生じた非進行性の脳病変を指しますが、アテトーゼ型を引き起こす原因は時代とともに変遷を遂げています。日本小児神経学会の調査報告等によれば、かつて主要因とされたのは重症新生児黄疸に伴う核黄疸でした。
核黄疸とは、血液中の未結合ビリルビンが血液脳関門を通過し、大脳基底核の淡蒼球や視床下核に沈着して神経細胞を破壊する病態です。1960年代以降、光線療法や交換輸血などの新生児管理技術が確立されたことで、母子間血液型不適合による核黄疸は劇的に減少しました。
現在においてアテトーゼ型の主要な原因として挙げられるのは、分べん時の新生児仮死(重度低酸素性虚血性脳症)や胎児機能不全、重度の未熟児医療における虚血性障害です。脳の成熟過程において、大脳基底核は極めて酸素消費量が多く代謝が活発な組織であるため、周産期の循環不全や低酸素状態に対して最も脆弱であり、選択的な組織損傷を受けやすい構造的な背景が存在します。