清涼飲料水業界において、紅茶飲料は長らく「コーヒーより軽やかで身体に優しい選択肢」として受容されてきた。一般的なドリップコーヒーのカフェイン含有量は100mlあたり約60mg、抽出した玉露なら160mgに達する。数字だけを並べれば、100mlあたり約20mgのミルクティーは一見すると控えめに見える。
だが、ここには飲用パターンの心理的トラップが存在する。苦味の強いホットコーヒーはマグカップ1杯(約150ml・カフェイン約90mg)を時間をかけて味わうケースが多いのに対し、ペットボトルのミルクティーは喉越しが良く、デスクワーク中や移動中に短時間で500mlをごくごく消費してしまいがちだ。
結果として、一度に体内に取り込まれるカフェインの絶対量はドリップコーヒー1杯分を上回ることすらある。脱脂粉乳の糖分と乳脂肪が茶葉特有の渋みをコーティングし、舌先の刺激を覆い隠してしまう。この「マスキング効果」こそが、無自覚なオーバードーズを誘発する潜在的要因と言えるだろう。