鬱蒼とした木立の合間から差し込む朝の光が、苔むした石段を淡く照らし出す。山梨県笛吹市の山懐に抱かれたこの地は、古くから山岳修験の道場として機能してきた歴史を持つ。神仏習合の時代から受け継がれる御嶽信仰の息吹は、今なお境内随所に色濃く残されている。木曽御嶽山を開創した先人たちの足跡が、この甲斐の地にも確実に刻まれているのだ。
険しい自然そのものを神体とみなす日本古来の自然崇拝。現代の都市生活で摩耗した感性を呼び覚ますような生々しい霊性が、この空間には凝縮されている。石碑に刻まれた先達たちの名、風雨に耐え抜いた社殿の木目一つひとつが、数百年におよぶ祈りの重みを無言で伝えてくる。