1949年に公開された短編『海の底はすばらしい』(原題:The Cat and the Mermouse)は、シリーズ屈指の幻想美とナンセンスギャグが融合した傑作だ。埠頭から海へ落とされたトムが夢の中で出会うのは、下半身が魚になった人魚ならぬ「マーマウス」のジェリー。海底を優雅に泳ぎ回るキャラクターたちの滑らかなアニメーションは、当時のスタジオ技術の粋を集めた圧巻の仕上がりを誇る。
巨大なタコや獰猛なメカジキに追い回され、水中で息を止めることすら忘れてパニックに陥るトムのリアクション芸はまさに芸術品。海底の気泡、揺らめく海草、光の屈折までもを手描きで描ききった美術背景の美しさが、スピーディーなギャグの切れ味を一段と際立たせている。