成歩堂龍一の生涯において最大のターニングポイントとなったのが、弁護士資格の剥奪事件です。破竹の連勝を誇っていた成歩堂が、なぜ法廷を追われることになったのか、その裏には極めて悪質な司法の罠が存在していました。
事件の発端は、或真敷ザックの弁護を担当した裁判でした。開廷直前、成歩堂はある少女から「預かってきた証拠品」として1枚のトランプのカード(血のついた日記の切れ端)を受け取ります。依頼人の無実を証明するためにその証拠を法廷に提出したところ、対峙する検事・牙琉霧仁と牙琉響也によって「その証拠品は巧妙に偽造された捏造証拠である」と告発されてしまったのです。
司法の信頼を根底から揺るがす重大違反として、成歩堂は即座に弁護士バッジを剥奪され、法廷から追放されました。しかし、これはすべて牙琉霧仁が自身のプライドと嫉妬から仕組んだ冷酷な罠でした。
資格を失った後の7年間、成歩堂はロシア料理店「ボルハチ」で冴えないピアノ弾き兼ポーカーの裏勝負師として糊口をしのぎます。ピアノの腕前はお世辞にも上手とは言えませんでしたが、ポーカーにおいては7年間無敗という伝説を打ち立てました。この無敗記録は、相手の心理の揺らぎやわずかな仕草から真実を見抜く、彼本来の並外れた観察眼の賜物でした。表舞台から身を潜めつつも、成歩堂は7年という歳月をかけて、自身を陥れた巨悪を暴くための布石を着実に打ち続けていたのです。