世界的評価を得た後も、黒木華は挑戦を止めなかった。映画監督・岩井俊二に見出されて主演を務めた『リップヴァンウィンクルの花嫁』では、SNSを通じて翻弄されていく儚くも繊細な主人公・七海を演じきり、映画ファンの心を強く揺さぶった。
一方で、テレビドラマでもその表現力は絶大な支持を集める。大ヒットドラマ『凪のお暇』では、他人の目を気にしすぎて呼吸困難になった主人公が、仕事を辞め、髪型も天然パーマのまま「人生のリセット」を図る姿をコミカルかつ切なく演じた。
日常の機微を描くヒューマンドラマにおいて、彼女は観客に「自分自身の物語」として感情移入させる比類なき才能を持っている。繊細な心の揺れ動きを目線の移ろいや息遣い一つで表現する技術は、まさに彼女ならではのものだ。