昭和から平成へと時代が移り変わり、芸能スクープの取材手法がもっとも過激化していたのが90年代末だった。連日テレビのワイドショーは視聴率を競い合い、プライベートの細部にまでカメラのレンズが向けられた。人権配慮という言葉がまだ希薄だった時代だ。
フラッシュの嵐、自宅前でのマイクの突きつけ、関係者への執拗な取材。不倫報道過熱の中で彼女が晒されたストレスは、現代のSNS炎上とは比較にならない実体的な恐怖を伴っていた。しかし、過剰なメディアスクラムに対して彼女が見せた沈黙と気品は、後に報道のあり方を再考させる静かな抵抗となった。