2026年を迎えた現在、アラル海をめぐる情勢は「全面的な復活」から「持続可能な共存と部分的な環境安定化」のフェーズへと移行しています。かつてのような世界第4位の姿に湖全体を戻すことは、中央アジア全体の水資源需要を考慮すると事実上不可能です。しかし、現場では着実な適応と修復の試みが続いています。
カザフスタン側の小アラル海では、さらなる水位の安定と水質改善を目指すコクアラルダムの機能強化・第2フェーズ事業が焦点となっています。気候変動に伴う天山山脈の氷河融解サイクルの変化を監視しつつ、限られた河川水をいかに無駄なく湖に蓄えるかという高度な水管理技術が導入されています。
一方のウズベキスタン側でも、大規模なサクサウール植林が実を結び始め、かつて剥き出しだった有毒な砂底の一部に緑の防風林が定着。舞い上がる塩嵐の発生頻度を抑える効果がデータとして確認されるようになりました。失われた自然への反省から、モイナク周辺をエコツーリズムやダークツーリズムの拠点として再定義し、環境学習の場として世界中から研究者や旅行者を受け入れる動きも定着しています。