中島歩を語る上で欠かせない要素の一つが、明治の文豪・国木田独歩の玄孫(やしゃご)という類まれな家系です。父方の祖母が国木田独歩の孫にあたり、日本近代文学の黎明期を切り拓いた偉大な血筋を引いています。
朝ドラ出演で世間の脚光を浴びた際、ワイドショーや週刊誌はこの「華麗なる血統」を大々的に報じました。しかし、本人は決してその看板に甘えることはありませんでした。自身のルーツについて質問された際も、「先祖の偉業は自分自身の力ではない。一人の表現者として何を残せるかがすべて」と極めて冷静で謙虚な姿勢を崩しませんでした。
日本大学藝術学部で文芸を専攻した背景にも、言葉や物語に対する並々ならぬ敬意が存在していました。文学的な素養と身体表現が見事に融合した中島歩の佇まいは、生まれ持った血脈の重みを受け止めつつも、それに甘んじることなく自らの足で芸道を切り拓いてきたストイックな姿勢の賜物といえます。