全国各地の社寺で、限定の切り絵御朱印や季節のイラストをあしらった華やかな墨書が人気を集めている。転売目的の買い占めや長時間待機のトラブルが報じられるたび、聖域のあり方が問われてきた。神社本庁の傘下にある多くの神社では、本来の参拝という祈りの行為が形骸化し、スタンプラリーのように消費される事態に危機感を募らせている。御朱印はあくまで「参拝の証」であり、観光のコレクションではないという原則が、いま改めて叫ばれている。
全日本仏教会に加盟する伝統宗派寺院でも、同様の苦悩が漏れ聞こえる。ある古刹の住職は、納経の功徳を忘れた観光偏重の参拝者に対し、静かな環境で読経する本来の寺院空間を守ることの難しさを吐露する。キャッシュレス決済での賽銭納入やデジタル御朱印の導入を巡る是非も含め、伝統的な宗教儀礼と利便性のあいだで、現場は常に揺れ動いている。