俳優としての彼女の足跡を振り返ると、極めて多才な表現力に驚かされる。実写化が難しいとされた『ゆるキャン△』では、物静かでクールな志摩リン役を原作ファンの期待を裏切らない解像度で具現化。防寒性の高いアウトドアウェアに身を包み、セリフに頼らない表情の芝居で高い評価を獲得した。
一方、山下智久と共演したヒット作『正直不動産』では、がむしゃらで人間味あふれるカスタマーファーストの社員・月下咲良役を快演。オフィスを小走りで駆け回るスーツ姿や、感情を行動で表すコミカルな演技が光ったが、こうした躍動感あふれる芝居こそが、前述の「意図的な切り抜き」のターゲットにされやすい土壌でもあった。
しかし、画面を凝視すれば制作陣の細やかな配慮が息づいていることがわかる。タイトスカートに見えても十分に伸縮性があり露出を最小限に抑えた特注の衣装設計、ローアングル撮影時の徹底したアングル調整など、俳優の尊厳とリアリティを両立させるプロフェッショナルの技術がそこには詰まっている。