キキがラジオのスイッチを入れた瞬間に流れる軽快なリズム。主題歌である荒井由実(松任谷由実)の『ルージュの伝言』は、映画のオープニングを彩る最高の演出として語り継がれています。旅立ちの緊張感を一瞬で開放し、未知の世界へと羽ばたく少女の胸の高鳴りを鮮やかに表現しました。
さらに注目すべきは、音楽の後に流れる「ラジオの天気予報」の放送内容です。アナウンサーが告げる「今夜は晴れて星空が広がるでしょう……ただし、太平洋側では所により強い雨にご注意ください」という予報が、その後の突発的な雨雲との遭遇、そして貨物列車への避難という波乱の展開を見事に暗示しています。
このラジオから流れるアナウンサーの声を務めたのは、声優界のレジェンドである山寺宏一さんです。山寺さんは本作において、キキに声をかける警官役やお祭りの少年など複数の役を演じ分けており、ラジオ音声の細部にも作品のクオリティを支える職人技が光っています。