公開当時、主演のリリー・ジェームズの細すぎるウエストが「CGではないか」「コルセットで締め付けすぎている」と物議を醸したことを覚えている人も多いだろう。しかし、このドレスの本質は締め付けによる細さではない。
パウエルが目指したのは、「走れるドレス」だった。シンデレラが階段を駆け下り、馬車へと急ぐシーン。ドレスは彼女の動きを邪魔するどころか、風をはらんでまるで雲のように軽やかに舞った。この「動いたときの美しさ」こそが、従来の重苦しいクラシックドレスとの決定的な違いだ。自らの意志で走り出す現代のシンデレラ像に、これ以上ふさわしい衣装はなかった。