カウンターの奥で静かにドリッパーを見つめるチーフバリスタに話を聞いた。抽出の秒数、粉の挽き目、湯温のわずか0.5度の変化にまで神経を研ぎ澄ます姿は、まさに求道者そのものだ。「一杯のコーヒーが届ける感情の起伏を大切にしたい」と彼は語る。
激変を続ける飲食・スペシャリティコーヒー産業において、同店が追求するのは流行の追従ではなく、豆本来のテロワールを最大限に引き出す誠実なアプローチだ。浅煎りの華やかな酸味から深煎りの重厚なコクまで、訪れる人の嗜好に寄り添う丁寧なペアリング提案が、コアな愛好家の心を掴んで離さない。