リスナーの耳を奪い合う主戦場は、SpotifyやApple Musicといったストリーミングサービスの中にある。アルゴリズムがパーソナライズされたプレイリストを次々と提示する環境において、イントロの数秒でリスナーを惹きつけられなければ、即座にスキップされる過酷な現実がある。
空間オーディオやハイレゾ配信の普及も、クリエイターの音作りに劇的な変化をもたらした。ボーカルの息づかいや微細なリバーブの減衰音までがクリアに届くため、耳元で語りかけるような親密なプロダクションが主流となりつつある。チャートの上位を占める楽曲は、スマートフォンのスピーカーから高級ヘッドホンまで、あらゆる再生環境で完璧に鳴り響くよう緻密にミックスされている。