新基準バットの導入以降、高校野球における本塁打数は全国的に激減した。しかし、その物理的な制約すらあざ笑うかのようにバックスクリーンへ打球を叩き込む打者が存在する。身長188センチ、体重92キロの恵まれた体躯から繰り出されるスイング速度は、プロの主力クリーンナップと比較しても見劣りしない。
彼の真骨頂は、強引な振り回しではない繊細な打撃技術だ。右打者特有の軸足を残した柔軟なフォロースルーにより、逆方向への打球でもフェンスを軽々と越えていく。現場のスカウトは「ボールの下側にミリ単位でバットを入れられる感覚を持っている。バットの反発係数など、彼には関係がない」と舌を巻く。