田口がのめり込んだオンラインカジノ(iGaming)産業は、当時すでに世界で巨大なマーケットを形成しており、日本国内でも水面下で利用者が急増していた。海外に拠点を置くカジノオペレーターは、日本の法規制をすり抜けるため、国内の決済代行業者を複雑に介在させてプレイヤーに入出金を行わせる。
公金がスマートフォンの画面越しに吸い込まれていくプロセスは、驚くほどシームレスだった。銀行口座から決済代行業者へ送金され、そこからカジノ内のアカウントへクレジットとして即時反映される。この地下水脈のような決済ルートの存在が、行政による初期の差し押さえを困難にした。ギャンブル依存と国境を越える電子マネーの結合が、いかに個人の倫理観を麻痺させ、公金を瞬時に蒸発させるかを証明した一件だった。