細川氏の芸術活動は、陶芸の枠を軽々と飛び越えています。近年特に注目を集めているのが、寺院への襖絵(障壁画)の奉納と、精力的に開催される書道・絵画の個展です。
これまでに京都・建仁寺塔頭の正伝永源院をはじめ、奈良・薬師寺、建長寺、さらには東大寺などに自筆の水墨山水図や襖絵を相次いで奉納。伝統的な技法を踏まえながらも、どこか洒脱で自由闊達な筆致は、専門の美術評論家からも「名門の美意識と孤高の精神性が融合した独自の境地」と絶賛されています。
また、文化人としての細川氏を語る上で欠かせないのが、東京都文京区目白台にある「公益財団法人 永青文庫」の理事長としての公務です。
永青文庫は、旧熊本藩主・細川家に伝来する国宝8点、重要文化財30余点を含む約11万点もの歴史資料・美術品を収蔵・展示する日本屈指のミュージアムです。細川氏はその最高責任者として、貴重な文化財の保存修復、若手研究者の育成、企画展の総合監修に現在も深く関与しています。単なる隠居人ではなく、日本文化の正統な継承者としての重責を毅然と果たし続けているのです。