「毎日力を込めてゴシゴシ磨いているから自分は大丈夫」と考えている人は、別の深刻なリスクに直面しています。それが歯茎下がり(歯肉退縮)の真相です。歯肉退縮は歯周病だけでなく、誤った強いブラッシング圧(オーバーブラッシング)や噛み合わせの不調和(咬合性外傷)によっても引き起こされます。
毛先の硬いブラシで150g以上の圧力をかけて磨き続けると、薄い歯肉上皮が擦り減り、歯の根元(象牙質)が露出してしまいます。一度下がってしまった歯肉は、自然治癒で元の位置まで這い上がることはありません。露出した象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く、知覚過敏や根面う蝕(根元の虫歯)のリスクが跳ね上がります。
さらに、口臭と歯肉の健康状態にも密接な相関があります。「口臭は胃の悪さからくる」という俗説が根強く信じられていますが、生理的口臭を除いた病的口臭の80%以上は口腔内環境、とりわけ歯周病菌が産生する揮発性硫黄化合物(メチルメルカプタンなど)に起因しています。歯茎が健康で引き締まっていれば、こうした腐敗臭の発生を根本から抑え込めます。