長身ボクサーの弱点は一般的に「インサイドに潜り込まれた際の脆さ」とされる。しかし、中谷はこのセオリーをあざ笑うかのように、懐に入られた瞬間でも強烈なアッパーカットやショートフックを叩き込む。遠距離では長いジャブと左ストレートで突き放し、接近戦でも膝を深く折った柔軟な体幹で打ち負けない。
特に圧巻なのは、相手の頭が下がるタイミングを見逃さない左アッパーだ。172cmの視高から見下ろすことで、相手の目線とガードの隙間が誰よりも鮮明に見えているという。対戦相手のセコンド陣が「距離感がバグっている」と吐露するほど、彼の作り出す空間支配は徹底している。