人々の視線が夢の挑戦に注がれる中、極限の集中力で勝利だけを見据えていた男がいた。池添謙一騎手だ。ダービー5着、菊花賞4着と、あと一歩でタイトルを逃し続けてきた3歳馬ブラストワンピース。馬体重530キロを超える巨漢馬の能力を、池添は誰よりも信じていた。
4コーナー手前から早めのスパート。濡れた芝を力強く踏みしめ、坂の途中で先頭に躍り出る。粗削りだった大器が、グランプリの舞台でついにその覚醒の瞬間を迎えた。池添の鞭がしなるたび、ブラストワンピースは一段と加速し、追いすがる古馬たちの追撃を振り切ってみせた。