今作の骨格を成すのは、人間関係の機微を緻密な台白で編み上げる名手・坂元裕二のオリジナル脚本だ。そしてメガホンを取るのは、圧倒的な映像センスと演出力で観客の感情をドライブさせる塚原あゆ子監督。この二大巨頭がタッグを組むのだから、音楽に対する要求水準が並外れて高いのも当然と言える。
塚原監督の演出は、言葉にならない感情の揺らぎを光と影、そして背景の環境音に語らせることで知られる。そこに坂元裕二特有の、日常のささやかな会話の裏に潜む残酷なまでの純愛が交錯する。二人が紡ぎ出す世界観において、主題歌は単なるエンディングの飾りではない。台詞が途切れた瞬間に登場人物の無意識を代弁する、もうひとつの脚本として機能している。